この記事は、銀行融資で気をつけたい決算書の「ちょっとプラス」に隠れるワナについて解説していきます。
今回の決算は、「ちょっとプラス」になったんだけど、銀行融資に影響あるかな?と悩んでいませんか。
ちょっとプラスは銀行融資に影響があるのは、
・銀行融資を受けられる金額が減る
・粉飾決算している?
・節税すればお金が減る
となります。
銀行融資が受けられる金額が減るというのは、利益がないと銀行融資を受けられる金額が少なくなるということです。
粉飾決算している?というのは、ワザと利益を出しているんじゃないか?と思われることです。
節税すればお金が減るというのは、ちょっとプラスにするのにお金を使ってしまうと、手元にはお金が残らないので、税金を払って手元にお金を残しましょうということです。
この記事を読んで、「ちょっとプラス」に隠れているワナを確認して、良い決算書を作って銀行融資につなげて行きましょう。
銀行融資を受けられる金額が減る
ちょっとプラスになると、銀行融資を受けられる金額が減ります。
その理由は、銀行融資が受けられる金額は、(税引き後利益+減価償却費)×10が目安だからです。
(税引き後利益+減価償却費)×10が目安とすると、税引き後利益が減ってしまう「ちょっとプラス」といのは、あまり良い作戦ではありません。
利益をだすということは、税金に影響しますが、銀行融資にも影響してきます。
たとえば、
・ちょっとプラスの場合⇒税引き後利益が30万円
・プラスの場合⇒税引き後利益が300万円
だったとします。
減価償却費がなかったとしたら、銀行融資が受けられる限度額は、次のようになります。
※現在の借入金額は、“なし”とします。
税引き後利益30万円 | 税引き後利益300万円 | |
銀行融資可能額 | 300万円 | 3,000万円 |
算式 | 30×10 | 300×10 |
となります。
計算結果は、ちょっとプラスがよりも、プラスの場合のほうが10倍大きくなります。
数字の比較はあまり重視しなくても良いのですが、ちょっとプラスの場合は、ちょっとしか銀行融資の可能性がないというところを確認してください。
銀行融資の観点からは、ちょっとプラスは、不利になります。
そのため、できる限りの利益を出して、イヤだと思う税金を払ってでも、銀行融資の可能性を増やして行ったほうが良いのです。
銀行融資ができれば、資金繰りが安定する可能性は高くなるのです。
粉飾決算している?
ちょっとプラスの場合は、粉飾決算をしているかもしれません。
なぜなら、ちょっとプラスって意図的に操作できるものでもないからです。
粉飾決算っていうと、ワザとやっていると思っている方が多いと思います。
会計事務所に「ちょっとプラスにしておきましょう」と言われたら、必ず「粉飾決算とかしていないですよね?」と確認した方が良いです。
気づかないうちに、粉飾決算になっている場合もあるかもしれません。
たとえば、減価償却費ですが、減価償却費は会計では、その期にできる上限までやるというのがルールです。
でも、法人税の場合は、上限を超えなければ、いくらでも良いのです。
減価償却費控除前の利益が100万円あって、減価償却費の上限が120万円あったとします。
会計を基準にして減価償却をすると、100万円△120万円=△20万円となり赤字になります。
でも、法人税は120万円の上限を超えなくても良いので、100万円△70万円=30万円の利益としてしまう場合があります。
「ちょっとプラスになっているし、税金も少ないですよ」と言われたら、それで良いと思ってしまいます。
銀行融資の視点からは、会計の基準となりますので、法人税の基準でやった場合は、減価償却費を全額やっていないので、問題となるのです。
棚卸資産などもそうですが、「在庫を、ちょっといじったら、ちょっとプラスになりますよ?」という言葉は、良さそうに聞こえますが、危険な操作なのです。
あとは、知らないうちに仮払金・立替金・前渡金などの勘定科目が増えていることです。
銀行融資では、仮払金・立替金・前渡金などが、処理されていないのは、あまり良く思われません。
もちろん、本当に仮払いになっているのなら良いのですが、経費を減らすために仮払金を使っていることもあるからです。
経費を減らす以外にも、役員が使ってしまったので、行き場がないから「仮払金」にしてしまうのも危険です。
ちょっとプラスの影には、色々なものがあると思われてしまいますので、ちょっとプラスには注意をしましょう。
銀行も、勘定科目は良く見ています。
節税すればお金が減る
ちょっとプラスのメリットは、税金が少ないことですが、ムリヤリちょっとプラスになるとお金が減ってしまいます。
その理由は、税金を減らすためには、お金を使う必要があるからです。
多くのお金を使って税金を減らすなら、多くの税金を払ってでも、多くのお金を手元に残しましょう。
銀行融資では、多くの手元資金があると、銀行融資を受けやすくなるからです。
ムリヤリ手元資金を減らすよりも、手元には多くの資金を残しておいた方が良いです。
銀行は、貸したお金が返済されるのに興味を持っていて、手元資金が多いと「貸しても返してくれる」と思うからです。
節税するのは、悪くはないのですが、限度のある節税が良いと言いたいのです。
よくあるのが「利益が出たから、なんか買う」ということ。
これには、異論はありません。
でも、買うものがないということで、ムリヤリお金を使うのには賛成できません。
会社の税金の率は、利益の約30%となります。
会社が、1,000万円の利益があるなら、税金は300万円となります。
これを500万円の利益にすると、税金は150万円になりますが、500万円のお金を使って経費にする必要があります。
ちょっとプラスの30万円にするなら、970万円のお金を使うことになります。
もちろん、投資に使って、次の利益を狙うというものなら、賛成できます。
でも、税金を減らすためのものであれば、なるべくお金を手元に残しておいて、ピンチの時に使えるようにしておきましょう。
ちょっとプラスにするには、お金が必要です。
それよりも、手元資金を増やしたり、投資に使って利益を増やすことを考えて行きましょう。
銀行融資で気をつけたい決算書の「ちょっとプラス」に隠れるワナのまとめ
結果的にちょっとプラスになるのは良いのですが、操作してちょっとプラスにするのは、メリットがありません。
決算の結果には、十分に注意をしましょう。
編集後記(2340)
久しぶりに、HUBに行ってギネスビールを飲んで来ました。
1人でしたけど、本も読めて楽しかったですね。
55日記(2670)
夕食がタコスだったのですが、「おいしい」と言って食べていました。
そんなに好きだった?
66日記(1897)
タコスというよりも、外側のパリパリが好きなんですよね。
パリパリと食べていました。