
税理士の柏嵜忠弘です。東京都大田区で開業しています。
貸借対照表って損益計算書よりも分かりずらいですよね。
貸借対照表の読み方で悩んでいませんか?
貸借対照表の役割は、決算期末時点などの時点での会社の状態を表します。
といっても、なんだか分かりませんよね。
私も独立する前の勤務時代に「会計事務所に勤めているなら、損益計算書より貸借対照表を読めるようにしなさい」と言われたことがありました。
でも、貸借対照表って読むの難しいですよね。
簡単に説明すると貸借対照表は、どうやってお金を集めたの?とどうやって集めたお金を使ったの?が書いてあります。
今回は、貸借対照表について一緒に勉強していきたいと思います。
目次
貸借対照表の全体図

貸借対象とは、3つの部分からできている
貸借対照表は、3つの部分でできています。
- 資産の部
- 負債の部
- 資本の部
資産の部は、お金とお金を使った結果が書いてあります
負債の部は、他人からのお金の調達してきた部分です。他人からお金を調達したので他人資本ということもあります。
資本の部は、自分でお金を調達してきた部分です。自分でお金を調達したので自己資本ということもあります。
下記の図を見るとわかりますが、真ん中より右側からお金が入ってきて、真ん中より左側へお金が出ていきます。

資産の部
資産の部は、さらに3つに分かれています。
- 流動資産
- 固定資産
- 繰延資産
流動資産と固定資産の違いは、1年以内に換金できるかどうかです。
繰延資産は、サービスの提供を受けているのだけれども、その効果が一年以上に続くものです。
流動資産は、次のもので構成されています
- お金
- 将来お金になるもの
- その他
お金は、現金・当座預金・普通預金・定期預金などです。
将来お金になるものは、受取手形・売掛金・棚卸資産などです。
その他は、仮払金・短期前払費用・短期貸付金などです
流動資産は、流動性配列法という方法で並んでいて、簡単に言うとお金になりやすい順に並んでいます。
どのくらいお金にするのに手間がかかるかの順番です。
- 現金は、お金です。当たり前ですが。
- 当座預金は、小切手を切ればすぐに支払いができますので、お金に近いです。
- 普通預金は、銀行からお金を下ろしてくれば、お金になります。
- 定期預金は、定期を解約すればお金になります。
- 受取手形は、手形を割り引けばお金になります。
- 売掛金は、ツケで売ったお金を回収すればお金になります。
- 棚卸資産は、お客さんに商品などを売ればお金になります。
- 短期貸付金は、貸し付けた人から回収すればお金になります。
固定資産
固定資産は、1年を超えて現金化するものであり、その資産を使って会社の利益を生んでくれるものです。
固定資産は、有形固定資産・無形固定資産・投資その他の資産に分かれています。
有形固定資産は、賃貸用のビル・製品の製造用の機械・営業車などです。
賃貸用のビルは、お客さんに貸し出せば売上になります。
製品製造用の機械も製品を作り出すことにより、売上になります。
無形固定資産は、営業権・ソフトウェアなどです。
営業権は、別名のれんです。

のれんは、お店に入るときにあるものですが、会計では価値と考えています。
のれんを見れば入りたくなるというのもそうですが、高級ブランドの紙袋などを見てうらやましいとか思ってしまうこともありますよね。
高級ブランドなどの紙袋を見てうらやましいと思う気持ちにさせることや商品を欲しいと思わせることなどの見えない価値ものれんの一部です。
のれんは、会社を買収したときに見られる科目です。
投資その他の資産は、投資有価証券です。
販売目的の有価証券は、流動資産に記載します。
投資その他の資産に記載する投資有価証券は、保有目的の有価証券です。
保有目的有価証券は、会社の株式を保有して支配したりするものです。
繰延資産
繰延資産で代表的なものは、創立費や開業費です。
創立費は、会社を設立するための費用です。
会社を設立の支払は一度きりですが、会社を設立して会社が続いて行けば会社を設立した効果がずっと続くことになります。
負債の部
負債の部も2つに分かれています。
流動負債と固定負債です。
流動負債と固定負債の違いは、1年以内にお金が出ていくかどうかです。
流動負債は、さらに仕入債務と短期借入金などに分かれます。
仕入債務は、商品などを購入した時の支払手形や買掛金のことです。
仕入債務の順番も決まっていて、支払手形・買掛金の順番です。
- 支払手形は、現金は後で支払うことを約束して、とりあえず支払った形をとっています。
- 買掛金は、商品を買って月末などの後払いにすることを言います。
- 短期借入金は、お金を借りたうち1年以内に返済する部分です。
これも流動性配列法です。
固定負債は、お金を借りたうち1年を超えて返済する部分です。
資本の部
資本の部は、株主が出してくれたお金と自分で蓄えた利益の集まりです。
中小企業の場合は、株主=社長というのが多いと思いますので、自分で調達したお金という考え方もわかって頂けると思います。
自分で蓄えた利益の集まりは、開業から現在までの利益の集まりが、お金・建物や車などに化けています。
貸借対照表でこんなことを確認してみよう
流動性配列法というのを書きましたが、実際どのように役立つのか確認します。
流動性配列法で、会社の安全性を確認することが出来ます。
流動資産→1以年以内に現金になるもの
流動負債→1年以内に支払いするもの
例えば、取引先が突然、支払手形や買掛金など流動負債の全部のお金を払ってくれと言ってきたとします。
あなたは、こんなときどうしますか?
お金を支払わなきゃいけないから、現金を確認しますよね。
次に、当座預金、普通預金、定期預金の残高を確認します。
それでも足りなければ、受取手形を割り引きます。
それでも足りなければ、売掛金を回収しに行きます。
やっぱりそれでも足りなければ、貸したお金を回収に行きますよね。
つまり、流動性配列法の安全性の確認は、1年以内に支払うものに対して、1年以内にお金に換金するものがちゃんとあるかどうかを確認することです。
ちなみに、固定資産があるから大丈夫っていう意見もあると思います。
でも、建物って簡単に売れませんよね。
※正直に言うと、自動車はすぐ売却できますけど…。
固定資産は、理論上1年以内で換金できないっていうことになっています。
図にしてみるとわかりやすいですが、流動資産の方が流動負債より多ければ安全性が高いです。

流動資産の方が流動負債より少なければ、安全性は低いです。

貸借対照表の見方や分析を初心者でもわかりやすく解説まとめ
貸借対照表は、資産の部・負債の部・資本の部の3つで構成されています。
資産の部は、流動資産・固定資産・繰延資産に分かれています。
流動資産と固定資産の違いは、1年以内に換金できるかどうかです。
繰延資産は、支出の効果が1年以上に及ぶものです。
固定資産は、さらに有形固定資産・無形固定資産・投資その他の資産に分かれます。
負債の部も、流動負債と固定負債に分かれています。
流動負債と固定負債の違いは、1年以内に支払いがあるかどうかです。
資本の部は、資本金と過去の利益の集まりです。
流動性配列法は、会社の安全性を確認するものの1つです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。