税理士の柏嵜忠弘です。東京都大田区で開業しています。
正確な試算表を作るにはどうしたら良いか知っていますか?
この記事には、試算表とは?試算表作成の現金主義や発生主義・実現主義のことが書いてあります。
この記事を読み終えると、正確な試算表のつくり方を知ることが出来ます。
そもそも試算表とは?
試算表とは、会社の売上や経費を帳簿や会計ソフトに記録して、その結果を表示するものです。
「しさんひょう」と読みます。
主なものは、次の2つです。
貸借対照表
損益計算書
製造業などを経営している場合は、製造原価報告書を作成することがあります。
なぜ試算表を作るのか?
試算表を作る理由は、次の通りいくつかあります。
会社が、儲かっていのるか損をしているのかを知るため
銀行からお金を借りるために提出するため
などです。
試算表を作成する期間は、だいたい毎月が多いですが、顧問税理士の関与の度合いによると思います。
毎月正確な試算表を作成することによって、決算への道筋が見えてきます。
節税や納税対策などの計画を立てやすくなります。
試算表作成の現金主義とは?
試算表の作成方法は「現金主義」と「発生主義・実現主義」という方法があります。
試算表作成の現金主義とは、お金が入金したときに売上を計上して、お金を支払った時に経費を計上します。
売上や支払いの請求書を出したタイミングなどは、関係ありません。
現金主義のメリット
現金主義で試算表を作成する場合のメリットは、ずばり簡単!作りやすい!です。
「お金が入金したときに売上を計上する」と「支払った時に経費を計上する」方法は、通帳などを丸写しすればできますので非常に簡単です。
現金主義のデメリット
現金主義のデメリットは、売上のタイミングと経費のタイミングがズレることです。
売上の請求書を4月に出して、5月に入金したとします。
売上に対応する経費は、4月に請求がきて6月に支払ったとします。
現金主義で計算すると5月は売上があって経費がない、6月は経費があって売上がないことになってしまいます。
正しい損益なのかというと、ズレているので正しくはないです。
下の図は極端な例ですが、5月は売上だけ50,000円で6月は30,000円の経費となります。
正直に言いますと、現金主義は年に1回処理をするのに適しているように思えます。
試算表作成の発生主義・実現主義とは?
試算表作成の発生主義・実現主義とは、お金の流れに関係なく費用は発生した時、売上は終了した(実現した)ときに計上するものです。
私は、こちらの方法を強くお勧めしています。
用語の意義を詳しく説明します。
発生主義とは
発生主義とは、仕入れなど掛けて買う商品などを使った時(請求書が来たとき)に経費に計上する方法です。
ちなみに、現金で購入した物などは、現金で購入したときに経費計上します。
仕訳では、
仕入れたとき:(仕入)××(買掛金)××
支払ったとき:(買掛金)××(現金)××
実現主義とは
実現主義は、仕事が終了したときに売上に計上する方法です。
お金が入金したときに、売上を計上しない方法です。
仕訳では、
仕事終了のとき:(売掛金)××(売上)××
入金のとき:(現金)××(売掛金)××
発生主義・実現主義のメリット(おススメ理由)
出来上がった試算表が、現金主義に比べて正確だということです。
売上を計上したのが4月で経費も4月に計上するわけですから、売上と経費が対応してきます。
損益計算書は、売上と経費が対応していきます。
発生主義・実現主義のデメリット
会計処理が面倒になります。
現金主義の場合は、通帳の入金を売上で出金を経費にすればだいたい終わりです。
試算表を作成する資料が、領収書・通帳・請求書(売上・支払)となります。
発生主義・実現主義は、通帳の他に請求書を見て処理をしていかなければならないので、処理が面倒になります。
試算表作成での注意点
月末が平日じゃないときは、その分も考えよう
月末が平日じゃないときは、注意しましょう。
特に社会保険料です。
社会保険料は、金額が大きいので翌月に処理をすると正確な経理が出来ません。
月末で社会保険料が通帳から支払いがない時は、ぜひ未払金を計上しましょう。
仕訳ですと、こんな感じです。
試算表に減価償却や消費税も計上してみよう
減価償却や消費税も計上すると、より経営判断しやすい試算表になります。
減価償却費は、その事業年度の固定資産台帳の当期償却額を12で割ります。
その12で割った減価償却費を、毎月積み上げていくと良いです。
消費税は、会計ソフトで入力している場合は、その月時点の金額を把握することが出来ますのでそちらを参考にしてください。
発生主義の問題点
発生主義・実現主義で試算表を作成するのをおススメしていますが、万能ではありません。
在庫がある業種の場合などは、売れたもの以外の在庫しようとした分まで経費計上されてしまいます。
この場合は、在庫を毎月カウントしなければ正確な試算表になりません。
取引先で特に個人の方が多いかもしれませんが、請求金額が少ないからと言って2ヶ月分まとめて請求する方もいます。
このような場合も、正確な月次損益が出なくなってしまいます。
正確な試算表の作り方!ここにこだわろう!まとめ
最後にもう一度確認しましょう。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。