貯蔵品と棚卸資産の違いは?消耗品はすべて経費にならないの?

「貯蔵品という勘定科目を聞いたことがあるけど、なんだかわからない?」

というお悩みはありませんか?

かしわざき
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税理士の柏嵜忠弘です。東京都大田区で開業しています。

この記事は、貯蔵品について、貯蔵品の例外や棚卸資産との違いなどを解説しています。

この記事を読み終えると、消耗品や貯蔵品・棚卸資産との区別をつけることが出来ますよ。

目次

貯蔵品と棚卸資産の違いは?

貯蔵品と棚卸資産との違いは、

  • 貯蔵品⇒消耗品などの会社で使うもの
  • 棚卸資産⇒販売を目的にするもの

となります。

各項目について、説明します。

貯蔵品とは?

貯蔵品とは、消耗品などを購入してまだ使っていないものになります。

  • 事務用消耗品 ボールペンや消しゴムなど
  • 作業用消耗品 ボルト、ナット、タオルなど
  • 包装材料 段ボール、ガムテープなど
  • 広告宣伝用印刷物 パンフレット、チラシ

貯蔵品には、切手・パンフレットなどですが、販売するものと言うよりは、販売を補助するものです。

棚卸資産とは?

棚卸資産とは、商品や製品などの販売するものが該当します。

  • 商品 購入したもの
  • 製品 作ったもの
  • 仕掛品 作っているけど途中のもの
  • 材料 作る前のもの

などになります。

勘違いしないでほしいのが、パンフレットなどです。

パンフレットを作る会社は、そのパンフレットを販売するので、棚卸資産となります。

パンフレットを注文した会社は、そのパンフレットを使って販売するので、パンフレットを配って余った分は、貯蔵品になります。

期末にパンフレットがあったら貯蔵品ではありません。

パンフレットが売り物なのか?売り物じゃないのか?によって、貯蔵品か棚卸資産かが決まります。

貯蔵品?消耗品はすべて経費にならないの?

利益が出すぎてるから、商品券を買っちゃおうと思ったことありませんか?

決算日近くに、商品券を大量に購入した場合は、経費にならないことがあります。

商品券などは、使って初めて経費となります。

買っただけでは経費になりません。

購入して使っていない消耗品類を、資産として計上しておくのが貯蔵品です

税金対策のために決算日付近で商品券を大量に購入した場合は、購入した商品券の全部を渡せないかもしれません。

渡せなかった商品券については、貯蔵品として経費から除外します。

  

商品券の他によくあるのがパンフレットやチラシです。

パンフレットなども大量に制作した方が、1枚のパンフレットの単価が安くなる場合がありますよね。

でも、大量に制作すればお客さんに配り切れないこともあり、在庫として大量に残ってしまう場合があります。

そのパンフレットの在庫は、貯蔵品にしなければいけません。

貯蔵品にも例外がある

消耗品類で使っていないもの全てが、貯蔵品なのかといったらそうではありません。

ボールペンや消しゴムなどには、例外があります

通常は、購入して使用した部分だけが経費になります。

でも、毎事業年度同じ分だけ購入していつも使用するものならば、使用してないものについても購入したときに経費にして良いですよというルールがあります。

このルールに従えば、購入して使用していないものを、貯蔵品にせず経費にすることが出来ます。

このルールは3つからできています。

  1. 各事業年度ごとに一定数量取得すること
  2. 経常的に消費するものに限られること
  3. この処理を継続的に適用すること

上の文章でパンフレットの在庫を貯蔵品にしなければいけませんと書きました。

その理由は、パンフレットの製作単価を下げるための大量注文であり、各事業年度ごとに一定終了取得に該当しないからです。

このルールに該当するものは次のようなものです。

  • 事務用消耗品 ボールペンや消しゴムなど
  • 作業用消耗品 ボルト、ナット、タオルなど
  • 包装材料 段ボール、ガムテープなど
  • 広告宣伝用印刷物 パンフレット、チラシ
  • 見本品 試供品など

以下、法律を載せておきます。

2-2-15 消耗品その他これに準ずる棚卸資産の取得に要した費用の額は、当該棚卸資産を消費した日の属する事業年度の損金の額に算入するのであるが、法人が事務用消耗品、作業用消耗品、包装材料、広告宣伝用印刷物、見本品その他これらに準ずる棚卸資産(各事業年度ごとにおおむね一定数量を取得し、かつ、経常的に消費するものに限る。)の取得に要した費用の額を継続してその取得をした日の属する事業年度の損金の額に算入している場合には、これを認める。(昭55年直法2-8「七」により追加)

(注) この取扱いにより損金の額に算入する金額が製品の製造等のために要する費用としての性質を有する場合には、当該金額は製造原価に算入するのであるから留意する。

※国税庁HPより 2-2-15 消耗品費等(法人税法基本通達)

貯蔵品と棚卸資産の消費税

貯蔵品と棚卸資産の消費税は、次のようになります。

  • 貯蔵品 チラシなど自社で使うものは、購入したときに課税仕入にする
  • 貯蔵品 商品券などの贈答用は、非課税
  • 棚卸資産 購入したときに課税仕入にする

各項目にについて、確認していきます。

貯蔵品 チラシなど自社で使うものは、購入したときに課税仕入にする

貯蔵品のうちチラシなど自社で使用するものは、購入したときに課税仕入にします。

貯蔵品 商品券などの贈答用は、非課税

貯蔵品のうち、商品券などの贈答用のものは、非課税となります。

なぜなら、消費税は消費したときに認識します。

贈答品のように人に送るものは、もらった人が商品券を使ったときに認識することになります。

そのため、贈答用の商品券は、購入して持っているだけでは使っていないので非課税となります。

棚卸資産 購入したときに課税仕入にする

棚卸資産は、購入したときに課税仕入にします。

貯蔵品と棚卸資産の違いは?消耗品はすべて経費にならないの?のまとめ

最後にもう一度確認しましょう。

貯蔵品と棚卸資産の違いは?消耗品はすべて経費にならないの?
  • 貯蔵品と棚卸資産との違いは、販売するのか販売を補助するのかの違い
  • 購入した物すべてが経費となるわけではく、使用して初めて経費となる
  • 次の3つの要件を満たせば、貯蔵品に該当するものも例外として経費となる
    • 各事業年度ごとに一定数量取得すること
    • 経常的に消費するものに限られること
    • この処理を継続的に適用すること
  • 消費税について
    • 貯蔵品 チラシなど自社で使うものは、購入したときに課税仕入にする
    • 貯蔵品 商品券などの贈答用は、非課税
    • 棚卸資産 購入したときに課税仕入にする

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

    

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