税理士の柏嵜忠弘です。東京都大田区で開業しています。
車を購入した時の仕訳で悩んでいませんか?
この記事には、次のことが書いてあります。
この記事を読むと、自動車購入時の仕訳を正しくできるようになりますよ。
車を購入した時の仕訳
ある軽自動車を購入した時の実際の明細書です。
これを仕訳して行きたいと思います。
明細 | 金額 | 勘定科目 | 消費税 |
本体価格 | 1,188,000 | 車両運搬具 | 課税 |
付属品価格 | 204,000 | 車両運搬具 | 課税 |
自動車税環境性能割 | 24,000 | 租税公課 | 不課税 |
自動車重量税 | 6,000 | 租税公課 | 不課税 |
自賠責保険料 | 25,000 | 保険料 | 不課税 |
検査登録手続代行費用 | 20,000 | 車両維持費 | 課税 |
資金管理料金 | 290 | 車両維持費 | 課税 |
希望NO代行手数料 | 6,000 | 車両維持費 | 課税 |
検査登録法定費用 | 6,000 | 車両維持費 | 不課税 |
預りリサイクル預託金 | 7,020 | 前渡金 | 不課税 |
合計 | 1,486,310 |
軽自動車の仕訳の結果です。
車両 | 1,392,000 | 普通預金 | 1,486,310 |
租税公課 | 30,000 | ||
保険料 | 25,000 | ||
車両維持費 | 32,290 | ||
前渡金 | 7,020 |
普通預金で支払ったことにしていますが、基本の仕訳です。
手付金を払った場合や自動車ローンを使って購入した場合は、この仕訳にアレンジを加えて行きます。
下の方で説明しています。
以下で、個別の内容について説明して行きたいと思います。
車を購入した仕訳で車両運搬具になるものはどんなもの?
車両運搬具になるものは、主に次のものです。
- 本体価格
- メーカーオプション価格
- 付属品価格
- 納車費用
などです。
車両運搬具となるのは、取得価額になるものが入ってきます。
この中で納車費用だけ、ちょっと違うように見えるかもしれません。
納車費用については、販売側から見れば納車ですが、購入者側から見れば引き取りです。
引取運賃は、取得価額に含めなければいけない、付随費用なのです。
取得価額は、減価償却にも影響しますので、キチンと処理したいですね。
車を購入した仕訳で租税公課になるものはどんなもの?
租税公課になるものは、主に次のものです。
- 自動車税環境性能割
- 自動車重量税
- 自動車税種別割
などです。
聞きなれないのが、自動車税環境性能割と自動車税種別割ですが、2019年10月1日から名称が変わっています。
- 自動車税環境性能割=昔の自動車取得税
- 自動車税種別割=昔の自動車税
自動車取得税(今は自動車税環境性能割の事)は取得って書いてあるので、車両運搬具の取得価額に含めなくて良いの?って思うかもしれません。
自動車取得税については、取得価額に含めなくても良いことになっています。
自動車取得税を取得価額に含めなくて良いことを国税庁のHPで確認したい方は、減価償却資産の取得価額に含めないことができる付随費用を確認して下さい
車を購入した仕訳で保険料になるのはどんなもの?
保険料になるものは、主に次のものです。
- 自賠責保険料
これは、とくに問題ないと思います。
車を購入した仕訳で車両維持費になるのはどんなもの?
車両維持費になるものは、基本的に残りのもの全部を割り振っています。
支払手数料などにする方もいるでしょうが、私は車両維持費を使っています。
車を購入した仕訳で預かりリサイクル預託金になるのはどんなもの?
預かりリサイクル預託金は、車をリサイクルするときに使うもなので、購入した時はすぐに経費になりません。
預かりリサイクル預託金は、前渡金で処理をします。
預かりリサイクル預託金は、次の4つが含まれています。
- シュレッダーダスト代
- エアバッグ類料金
- フロン類料金
- 情報管理料金
私が、今回見た資料には、預かりリサイクル預託金と記載されていて、4つに分かれていませんでした。
もし4つに分かれていた場合でも、前渡金に仕訳できるようにしましょう。
預かりリサイクル預託金は、車を手放した時の処理が重要です。
- 車の下取りや売却があった場合
- 車を廃車にした場合
以下で説明して行きたいと思います。
車の下取りや売却があった場合
車を下取りや売却した場合の預かりリサイクル預託金の処理は、金銭債権の譲渡として処理しなければいけません。
なぜなら、リサイクル預託金は、売り主と買い主の預託金の譲渡となるからです。
仕訳は、次のようになります。
普通預金 | 7,020 | 前渡金 | 7,020 |
ちょっと難しい話ですね。
消費税は、非課税取引となり課税売上割合の計算には、預かりリサイクル預託金の5%を算入すると覚えておけば良いでしょう。
車を廃車にした場合
車を廃車にした場合は、預かりリサイクル預託金を経費に計上します。
なぜなら、廃車にするので、実際にリサイクルするということです。
仕訳は、次のようになります。
車両維持費 | 7,020 | 前渡金 | 7,020 |
消費税は、課税仕入れとなります。
新しい車を買うときは、今まで使っていた車の処理も考えましょう。
今まで使っていた車を、下取りや販売したのか?廃車したのか?で変わってきます。
車を購入するときに頭金を払ったらどう処理するの?
車を購入するときは、頭金を支払うかもしれません。
その頭金を払った時は、前渡金とういう勘定科目を使います。
前渡金を使うと、車購入の仕訳は、次の2つの仕訳に分かれます。
- 手付を支払った日の仕訳
- 車が納車されたときの仕訳
頭金を払った時と車が納車されたときは、別の日になりますので、仕訳も2つに分かれます。
以下で説明して行きたいと思います。
頭金を支払った日の仕訳
頭金を支払った日の仕訳は、前渡金という勘定科目を使って処理をします。
前渡金(手付金) | 300,000円 | 普通預金 | 300,000円 |
車が納車されたときの仕訳
車両 | 1,392,000 | 普通預金 | 1,186,310 |
租税公課 | 30,000 | 前渡金(手付金) | 300,000 |
保険料 | 25,000 | ||
車両維持費 | 32,290 | ||
前渡金 | 7,020 |
基本の仕訳との違いは、普通預金が300,000円減って、その代わりに前渡金が出てくる仕訳になっています。
自動車ローンを使って購入した場合はどう処理するの?
トヨタファイナンスやオリコなどで自動車ローンを組むと、分割払手数料を払うことになります。
分割払手数料の仕訳は、次の3つに注意しなければいけません。
- 購入した時に全額経費にできない
- 返済の期間に応じて経費にしていく
- 手数料だけど消費税は非課税
以下で説明して行きたいと思います。
購入した時に全額を経費にできない
自動車ローンは、返済が36回などになります。
分割払手数料は、その全期間に対応させなければいけません。
そのため、車を購入した時に分割払手数料を全額経費にはできません。
返済の期間に応じて経費にしていく
分割払手数料は、返済期間に応じて経費にしていきます。
例を出して説明したいと思います。
事業年度が4月から翌年3月で、10月に車を購入して割賦利息は9万円場合
購入1年目
購入1年目は、36回の返済の内6回返済します。
10月から翌年3月分の6回です。
分割払手数料の36回の内の6回分の90,000円×6/36=15,000円を支払利息(経費)とします。
90,000円ー15,000=75,000円は、前払費用として処理します。
前払費用は、来年以降経費になりますよという意味です。
ローンで購入した場合の購入時の仕訳
車両 | 1,392,000 | 未払金 | 1,576,310 |
租税公課 | 30,000 | ||
保険料 | 25,000 | ||
車両維持費 | 32,290 | ||
前渡金 | 7,020 | ||
支払利息 | 15,000 | ||
前払費用 | 75,000 |
購入2年目以降
購入2年目以降は、36回の返済の内12回返済しますので、分割払手数料の36回の内の12回分を経費にします。
90,000円×12/36=30,000円を経費にします。
購入3年目は、購入2年目と同じ処理をします。
購入4年目は、残り全てを経費にします。
購入2年目と3年目の仕訳
支払利息 | 30,000 | 前払費用 | 30,000 |
購入4年目の仕訳
支払利息 | 15,000 | 前払費用 | 15,000 |
手数料だけど消費税は非課税
分割払手数料は、手数料という言葉が入っていますが、消費税は非課税です。
なぜなら、手数料と言っても利息の性格があるからです。
実際には、銀行から借入をして返済の時に支払う利息と一緒の処理になります。
車をローンで購入した時や頭金のある時のの仕訳をくわしく解説!のまとめ
最後にもう1度確認しましょう。
編集後記
車の購入の仕訳の内容を解説しました。
車の購入は、業種によっては、たまにしか出てきません。
注意深く仕訳しましょう。
55日記
娘は、毎日、人のいない公園で遊んでいます。
家にいるときは、保育園の友達の名前とかを言っているので、娘も寂しいんじゃないかと思います。
とにかく、この時期を乗り越えて欲しいです。