法人成りした時の最初の役員報酬の決め方
法人成りしたけど、最初の役員報酬の決め方ってどうしたら良いんだろう?って悩んでないですか。
税理士の柏嵜忠弘です。
東京都大田区で開業しています。
この記事には、法人成りした時の最初の役員報酬の決め方を解説しています。
この記事を読み終えると、法人成りした時の最初の役員報酬を、決めることができますよ。
法人成りした時の最初の役員報酬の決め方を解説の前に
法人成りした時の最初の役員報酬の決め方を解説の前に、ルールの説明があります。
会社の役員の給料は、役員報酬と言いますが、定期同額給与というルールがあります。
定期同額給与というルールは、
- 期首から3か月以内に役員報酬を決める
- 期末まで決めた金額を払う
というルールです。
定期同額給与のルールを守らないと、役員報酬が会社の経費として認められないからです。
会社を設立した場合にも、この定期同額給与のルールを適用してきます。
法人成りした時の最初の役員報酬の決め方を解説
法人成りした場合の役員報酬の決め方は、定期同額給与というルールで決めていきます。
次の2つの場合で確認していきたいと思います。
- 法人成りが事業年度の途中の場合
- 法人成りが事業年度の最初の場合
各項目について、説明していきます。
法人成りが事業年度の途中の場合
法人成りが事業年度の途中の場合は、会社を設立してから3か月以内に決めなければいけません。
定期同額給与は、期首から3か月以内に決めなければ行けないルールですが、法人成りの場合は、法人成りした日から3か月以内となります。
例えば、8月10日に開業した場合は、11月9日までに役員報酬の額を決定して、役員報酬を支払います。
会社設立前に大体の売上や利益が予想される場合は、すぐに決めてしまって良いと思います。
法人成りした後に「定期同額給与というルールがあるのか…」と思った方は、少し時間をかけて役員報酬の金額を決めても良いです。
8月と9月に役員報酬を受け取らないで、10月に役員報酬を決めて、10月から受け取る方法です。
この場合に注意したいのは、8月と9月にさかのぼって役員報酬は、支払えません。
8月と9月は0円で役員報酬を払って、10月から〇〇万円に変更して支払うことになるからです。
役員報酬は、法人成りした後3か月間で決める。
法人の設立が事業年度の最初の日の場合
法人の設立が事業年度最初の日の場合は、事業年度最初の日から3か月以内に役員報酬を決めて、支払います。
定期同額給与のルールと一緒で、期首から3か月以内に役員報酬を決めます。
例えば、4月1日に会社を設立した場合は、6月30日までに役員報酬を決めて支払います。
法人成りした時の最初の役員報酬の金額の決め方
役員報酬の金額を決めるときの決め方としては、次の3つです。
- 個人事業主の時の所得を基準にする
- 欲しい金額を役員報酬の金額にする
- 生活費として必要な金額を役員報酬の金額にする
役員報酬と決めるときには、最初に方針を決めておいた方が良いです。
なぜなら、定期同額給与は期首にの3か月だけしか考える時間がないからです。
実際に、1つづつ見て行きたいと思います。
個人事業主の時の所得を基準にする
個人事業主の時の所得をもとに考えることが、1番役員報酬を決めやすいと思います。
なぜなら、個人事業の時の事業の実績があるからです。
実際には、個人事業主の時の所得を12か月で割って決める方法です。
所得が480万円だったら12か月で割って月々40万円とする方法です。
欲しい金額を役員報酬の金額にする
欲しい金額を役員報酬の金額にする方法があります。
なぜなら、役員報酬は事業に対するモチベーションになるからです。
高い役員報酬を設定してそれを得ていく、赤字にならないように頑張るというモチベーションです。
生活費として必要な金額を役員報酬の金額にする
個人の生活費などを考えて役員報酬を決める方法です。
なぜなら、生活費をもとに役員報酬を決めることは、合理的です。
実際に、食費や住宅費などを確認して計算してみてください。
その金額が、役員報酬の目安になるかもしれません。
役員報酬に日割りはない
役員報酬は、社員と違って日割りというものがありません。
会社設立が月の途中だからと言って、就任から締日までの日割りをもらうことが出来ないのです。
なぜなら、定期同額給与のルールに違反してしまうからです。
定期同額給与のルールは、1度決めた金額は期末まで続けることなのです。
例えば、
- 8 月は、日割りで10万円
- 9月は、以降50万円
だったとします。
8月の10万円だけが定期同額給与のルールが適用されます。
9月以降は、
- 役員報酬10万円
- 役員賞与40万円
を払っていることになり、役員賞与40万円は、会社の経費になりません。
法人成りした時の最初の役員報酬は社会保険についても考えよう
役員報酬の目安を決めることが出来た場合は、社会保険のことを考えて行かなければなりません。
なぜなら、社会保険は役員報酬の約30%を社長個人と会社で負担しなければならないからです。
役員報酬を決めるときは、だいたいの役員報酬の金額を決めます。
そして、社会保険の金額を計算してから、再度役員報酬の金額を考え直すのが良いと思います。
社会保険は、
- 健康保険
- 厚生年金
のことです。
役員報酬から引かれる率は、
東京都の場合 | 健康保険(40歳まで) | 健康保険(40歳以上) | 厚生年金 |
個人負担分 | 9.84% | 11.64% | 18.30% |
会社負担分 | 9.84% | 11.64% | 18.30% |
会社負担分は経費となりますが、金額が大きくなるので、役員報酬を決めるときは社会保険のことも含めて考えてください。
法人成りした時の最初の役員報酬の決め方を解説します!のまとめ
最後にもう一度確認しましょう。
役員報酬は、会社が始まってすぐに決めるので、悩む人がとても多いです。
私のお客さんも「会社期末の状態がわからないのに決めるのって大変だ」と言っています。
早めに税理士に相談するか、知り合いの社長にどうやって役員報酬を決めているのか、相談するのも良いかもしれません。