個人事業主が車を売却したときの仕訳、譲渡所得、消費税
車の売却をしたときの仕訳は、きちっとやっておきたいものです。
でも、実際売っちゃったあとに、仕訳ってどうしよう?と思っちゃいますよね。
車を売ったときの仕訳を紹介していきます。
個人事業主が車の売却をしたときの仕訳を解説!
車を売却したときの仕訳は、
- 減価償却が全部終わっているとき
- 減価償却が全部終わっていないとき
- 消費税が税込み処理のとき
- 消費税が税抜処理のとき
- 売却益が出ているとき
- 売却損が出ているとき
といくつもの要素がからみあいます。
これが車の売却の仕訳を難しくしています。
これを一つずつ解説していくとわかりづらいので、
- 減価償却が全部終わっていて、消費税が税込みで、売却益が出ているとき
- 減価償却が全部終わっていなくて、消費税が税抜処理で、売却損が出ているとき
と分けて解説したいと思います。
減価償却が全部終わっていて、消費税が税込みで、売却益が出ているとき
例題
車両1円(車両3,000,000円ー減価償却累計額2,999,999円)
リサイクル預託金15,000円は、普通預金に入金
売却金額1,100,000(消費税10%)は、普通預金に入金
仕訳は、次の通りとなります。
(借方) | (貸方) |
(普通預金)1,115,000 | (車両)1 |
(事業主借)1,099,999 | |
(リサイクル預託金)15,000 |
車の減価償却は終わっていますので、(車両)1となります。
車両1円を1,100,000円で売却したので、車の売却益は、1,099,999円となります。
でも、車の売却は、譲渡所得で計算しますので、事業所得の利益に関係ない事業主借勘定を使います。
(貸方)に(事業主借)となって混乱するかもしれませんが、気にしないでください。
車の売却益は、使わずに事業主借感情を使う。
減価償却が全部終わっていなくて、消費税が税抜処理で、売却損が出ているとき
例題
車両2,000,000円(車両3,000,000円ー減価償却累計額1,000,000円)
リサイクル預託金15,000円は、普通預金に入金
売却金額1,100,000(消費税10%)は、普通預金に入金
(借方) | (貸方) |
(普通預金) 1,115,000 | (車両)2,000,000 |
(事業主貸)1,000,000 | (仮受消費税)100,000 |
(リサイクル預託金)15,000 |
仮受消費税は、車両売却金額の1,000,000円の10%の100,000円となります。
普通預金は1,100,000円入金して、その内の100,000円が仮受消費税だったと考えましょう。
車両2,000,000円+仮受消費税100,000円を1,100,000円で売却したので、差額の1,10,000円が車の売却損になります。
個人事業主の車の売却は、譲渡所得で計算しますので、車の売却を事業所得の経費にしないようにするため、事業主貸勘定を使います。
車を売却したら青色申告決算書の処理も忘れずに
車を売却したら、青色申告決算書の減価償却費の計算の欄も訂正してください。
摘要欄に「〇〇年〇〇月に売却」や「〇〇年〇〇月に下取り」と記入してください。
車を売却は、譲渡所得で申告
車の売却などあったときは、譲渡所得で申告します。
車の売却は総合譲渡となります。
総合譲渡には、
- 短期譲渡所得
- 長期譲渡所得
- 売却損が出た場合
に分かれます。
各項目について、説明していきます。
短期譲渡所得
総合譲渡の短期譲渡所得は、
- 所有期間が5年以内のもの
- 50万円の特別控除がある
という特徴があります。
例題 車両1円(車両3,000,000円ー減価償却累計額2,999,999円)
リサイクル預託金15,000円は、普通預金に入金
売却金額1,100,000(消費税10%)は、普通預金に入金
1,100,000(売却代金)―1円(車両)―500,000円(特別控除)=599,999円(総合長期譲渡所得)
長期譲渡所得
総合譲渡の長期譲渡所得は、
- 所有期間が5年を超えるもの
- 50万円の特別控除がある
- 50万円を引いた後に1/2する
という特徴があります。
例題 車両1円(車両3,000,000円ー減価償却累計額2,999,999円)
リサイクル預託金15,000円は、普通預金に入金
売却金額1,100,000(消費税10%)は、普通預金に入金
{1,100,000(売却代金)―1円(車両)―500,000円(特別控除)}×1/2=299,999円(総合長期譲渡所得)
※リサイクル預託金は、売るための費用にはなりません。
車両を購入してから5年が過ぎているかどうかで、短期か長期が変りますので注意してください。
売却損が出た場合
売却損が出た場合は、他の事業所得などの利益から車の売却損を引くことができます。
例題 車両2,000,000円(車両3,000,000円ー減価償却累計額1,000,000円)
リサイクル預託金15,000円は、普通預金に入金
売却金額1,100,000(消費税10%)は、普通預金に入金
1,100,000円(売却代金)―2,000,000円(車両)=▲900,000円
この▲900,000円を他の所得に利益が出ている場合は、差し引くことができます。
車の売却は、消費税も関係する
車の売却は、消費税も関係するので忘れないようにしてください。
消費税で注意したいことは、計算方法と計算方法以外で分かれて来ます。
計算方法で注意したいこと
消費税の計算方法で注意したいことは、次の2つです。
- 事業主貸(売却損)と事業主借(売却益)じゃなく、売却額や下取り額で計算
- リサイクル預託金は、金銭債権
- 簡易課税は、第4種事業
各項目について、説明していきます。
事業主貸(売却損)と事業主借(売却益)じゃなく、売却額や下取り額で計算
消費税の計算に含めるのは、売却額や下取り額になります。
事業主貸(売却損)や事業主借(売却益)ではありませんので、ご注意ください。
リサイクル預託金は、金銭債権
原則課税の場合は、本業の売上+車両売却で計算していきます。
忘れちゃいけないのは、リサイクル預託金です。
リサイクル預託金は、リサイクル預託金×5%を非課税売上として消費税の計算に含めなきゃいけません。
事業所得と譲渡所得を合算して消費税を計算しなければいけませんので、忘れる方が多いと思います。
要注意です。
簡易課税は、第4種事業
事業で使っている車を売却する場合は、簡易課税では第4種事業で計算します。
※中古車販売業は除きます。
消費税の計算方法以外で注意したいこと
消費税の計算方法以外で注意したいことは、次の3つです。
- 車を売却した年の消費税を計算する場合は、車の売却も消費税に含める
- 車を売却した年の消費税を計算しない場合は、消費税は関係ない
- 車を売却した年の2年後に消費税を納税するかもしれないことを気にしておく
各項目について、説明していきます。
車を売却した年の消費税を計算する場合は、車の売却も消費税に含める
車を売却した年に消費税を計算する場合(課税事業者)は、車の売却分も消費税に含めます。
なぜなら、車の売却は、消費税の計算対象になるからです。
他に事業所得がある場合は、事業所得+車の売却で消費税の計算を行います。
車を売却した年の消費税を計算しない場合は、消費税は関係ない
車の売却をした年に消費税の計算をしない場合(免税事業者)は、消費税は関係ありませんので、気にしないでください。
車を売却した年の2年後に消費税を納税するかもしれないことを気にしておく
消費税は、消費税のかかる売上が1,000万円を超えたら、1,000万円を超えた年の2年後に消費税を納税することになります。
事業所得+車両の売却で1,000万円超えたら、2年後は消費税を納税する事業者(課税事業者)になりますので、忘れないでください。
※2021年7月21日現在です。インボイス制度になったら変わります。
個人事業主が車の売却をしたときの仕訳を解説!のまとめ
車の売却したときの仕訳の個人事業主編を解説しました。
車を売却しただけですけど、色々なことに気をつけなければならなくて、とても大変です。
仕訳で大変なのは、税抜処理をしている場合です。
税抜処理は、難しいので気をつけてください。
仕訳も大切ですが、譲渡所得で計算と消費税に含めるのも大切なので注意してください。
忘れてしまう人が多いです。
55日記(1174)
おむつトレーニング頑張っています。
もう一息みたいです。
66日記(401)
暑い中ちょっとコンビニに行ったりすると、ベビーカーで足をブラブラさせて喜んでいます。