売上を計上するタイミングと税務調査で売上を確認するポイント

かしわざき
かしわざき

税理士の柏嵜忠弘(かしわざきただひろ)です。

東京都大田区で開業しています。

売上の計上のタイミングって次の3通りあると思います。

  • 仕事が終わったとき
  • 請求書を発行したとき
  • 請求したお金が入金した時  

この3つのどのタイミングで売上を計上したらよいか悩んでいませんか?

この記事は、そんな悩みを解決できる記事となっています。

記事の前半では、売上の計上のタイミングについて、後半では税務署が売上漏れを確認するポイントなどを解説しています。

この記事を読み終えると、売上計上のタイミングと税務署の視点が分かるようになります。

目次

売上の計上のタイミングの話をする前に、売上と経費は対応しなければならい

会計では、費用収益対応の原則というのがあって、売上と経費は対応しなければいけないという約束事があります。

対応しなければならないというのは、同じ事業年度に売上と経費が一緒になっていなければならないということです。

会計原則の話は難しいので、費用収益の対応=経費(売上原価)と売上の対応という感じで読んでください。

売上と経費(売上原価)のイメージです。

売上を計上するタイミングの大原則は、仕事が終わったときです。

なぜなら、売上を仕事が終わったときに計上しないと、利益操作が出来たり売上もれが起きたりします。

実際に、請求書を発行した時と入金した時の問題を説明したいと思います。

請求書を発行した時に売上を計上すると、利益操作出来てしまう

請求書を発行した時に売上を計上してしまうと、利益操作出来てしまいます。

なぜなら、「今期利益出ているな」と思った時に、「仕事は終わっているけど、請求書だけ翌期にしゃちゃおう」とすることが出来るからです。

実際に、経費を今期で売上を翌期にしてしまうと、経費と収益の対応が取れなくなってしまいます。

下の図を確認してください。

入金した時に売上を計上してしまうと、売上が漏れてしまう

入金した時に売上を計上してしまうと、売上漏れが出てしまいます。

なぜなら、売上入金は、仕事が終わって請求書を出した後に入金されるからです。

これでは、経費と収益が対応しません。

売上と経費は、対応するようにしましょう

  

この記事に関連する記事は、こちらです。

税務署は、売上もれをこんな風に確認していく

税務調査があったときに税務署は、経費から売上を見て行くことがあります

なぜなら、売上と経費は対応しなければならないので、経費を見ることによって売上が見えてくることがあるのです。

実際に、税務調査などで確認する方法が経費と売上の繋がりです。

1月・2月・3月の商品や材料の仕入れの請求書を見て、仕入れた商品や材料が売上になっているのか・在庫になっているのかを重点的に確認します。

   

税務署は、請求書の内容をみて「この商品(材料)は、売上になっていますか?それとも在庫になっていますか?」と聞いてきます

こうやって、経費の請求書から対応する売上を確認することが出来ます。

黄色い部分を重点的に確認します。

※他の月の仕入れを確認しないわけではありません。重点的に見ることが多いです。

外注を使う場合も同様です。

外注先から送られてくる請求書に、現場名や作業名が書いてあるはずです。

税務署は、請求書の現場名や作業名を確認して「この○○さんにやってもらった現場(作業)は、売上になっていますか?」と聞いてきます

経費にしていれば、対応する売上があるかどうかを確認するためです。

 

税務調査の記事は、下の記事で書いています。

決算の翌月の売上の請求書も確認しよう

3月決算であれば、翌月の4月の売上の請求書も確認した方が良いです。

なぜなら、締め日の関係で、売上が漏れてしまうからです。

実際に、税務署のよく見て行くポイントは、決算期末付近の売上の請求書です。

以下の図で説明します。

特にこの赤い部分は重点的に確認していきます。

    

売上の請求書の発行期間が25日サイクルの場合は、4月分の売上の請求書の中に3月25日~3月31日分が、含まれているはずです

この部分の売上がもれてしまうことが多いので、税務署はその部分を確認してきます。

   

税務署と同じやり方で売上の計上漏れを確認していけば、売上漏れの確率は低くなっていきます。

請求を翌月にしてくれと取引先に言われたらどうする?

今月終わった仕事なのに、「翌月の日付で請求書を書いてくれ。」と言われたことはありませんか?

翌月の日付で請求書は書きましょう。

売上のためですから。

   

でも、自社の経理は仕事が終わった月に、売上を計上しましょう

なぜなら、売上が漏れてしまうからです。

取引先に請求書を発行する日付が、翌月になっても問題ありません。 

売上をきちんと計上していれば。

     

仕入れや外注費の請求書に現場名や案件が書いてあれば、それに対応する売上が抜けているのは、税務署にすぐにわかってしまいます。

  

「請求するのが遅くなって、翌月になってしまった。」や「請求するのを忘れていた」ときも、決算のときは仕事が終わったときの売上としましょう

  

請求したけど入ってこないけどどうする?

仕事が終わったけれども請求したのに入金しなかったということはありませんんか?

これも、仕事の終わったときの売上です。

   

売上が入金しないのと売上を計上するのは別の話だからです。

上でも書きましたが、仕事が終了したら売上を計上しなければなりません。

その分の経費は、かかっているのですから。

   

その請求した売上が、入金するかしないかは次の段階なのです。

やった仕事の分は、必ず売上に計上しましょう

 

売上を計上するタイミングと税務調査で売上を確認するポイントのまとめ

最後にもう一度確認しましょう。

  • 売上は、仕事が終わったときに計上しよう
  • 経費(売上原価)と売上は対応させよう
  • 取引先に翌期に請求書を書いてくれと言われたら翌期にしても良いが、経理上の売上は今期に入れよう
  • お金がもらえなくても、売上を計上しよう(もらえるかどうかは、そのあとの問題です)

最後まで読んでいただき、 ありがとうございました。

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