税理士の柏嵜忠弘です。東京都大田区で開業しています。
損益計算書は、ただ作っているだけだといけませんよ。
なぜなら、損益計算書の内容は、銀行借り入れに強く影響するからです。
この記事は、損益計算書の見栄えを良くする方法を書いています。
この記事を読むと、損益計算書を銀行借り入れに強いものに変えることが出来ます。
そもそも決算書にある損益計算書とは?
損益計算書とは、1事業年度(1年間)の会社の成績を表すものです。
損益計算書には、1事業年度(1年間)の全ての収入と全ての経費が記載されています。
損益計算書には、次の5つの利益が記載されています。
- 売上総利益
- 営業利益
- 経常利益
- 税引前当期純利益
- 当期純利益
この利益を使って、会社の状況などを判断していきます。
なぜ決算書の損益計算書を見栄えよくする必要があるのか?
なぜ損益計算書は、見栄えよくする必要があるでしょうか?
なぜなら、損益計算書は、利益を確認するだけでなく、銀行借り入れに強く影響するからです。
銀行は、損益計算書で利益が出ていないと、借入の返済能力がないと思ってしまいます。
借入の返済は、利益があってできるのです。
実際に、銀行は営業利益や経常利益の黒字を、重視しています。
以下、営業利益と経常利益を説明しておきます。
営業利益
営業利益とは、本業の利益を表すものです。
この営業利益が、黒字になっていないと、会社が本業で儲かっていないということになります。
営業利益は、売上総利益(粗利)から販売費及び一般管理費を引いたものです。
販売費及び一般管理費とは、商品や製品を売るための費用や事務所の家賃や通信費などです。
経常利益
経常利益とは、会社全体で儲けた利益のことです。
本業の利益である営業利益に本業以外の営業外収益や営業外費用をプラスマイナスした利益です。
営業外収益で代表的なのは、受取利息などの本業以外の収入です。
営業外費用で代表的なのは、支払利息で本業以外の経費です。
実際に決算書の損益計算書を見栄え良くする方法
決算書の損益計算書を見栄え良くする方法は、経費の中から特別損失へ移動できるものを移動する方法です。
なぜ経費を移動するのかというと、経費が特別損失へ移動すれば、営業利益や経常利益が黒字になるからです。
実際に、販売費及び一般管理費の経費が特別損失へ移動すれば、営業利益や経常利益が黒字になります。
例として、次の2つの損益計算書で確認していきます。
- 営業利益が赤字の損益計算書
- 販売費及び一般管理費から特別損失へ経費を動かした損益計算書
各項目について、下の図で説明していきます。
営業利益が赤字の損益計算書
営業利益が、▲1,000,000円になっています。
最終の利益は、黒字になっていますが、営業利益が▲1,000,000円となっているので、銀行などに本業の調子が良くないと判断されてしまいます。
もし、販売費及び一般管理費の中に特別損失へ移動する経費があれば、営業利益が黒字になって、見栄えの良い決算書の損益計算書になります。
販売費及び一般管理費から特別損失へ経費を動かした損益計算書
販売費及び一般管理費の中から、特別損失へ経費を移動した場合は、下の図の様になります。
最終利益が同じだとしても、営業利益も黒字になり、経常利益も大きく黒字となりました。
販売費及び一般管理費から経費を動かすことによって、全く赤字のない黒字の決算書が出来上がります。
販売費及び一般管理費の中から、特別損失へ移動できるものを探しましょう。
決算書の損益計算書の中で、どんな経費が移動できるの?
決算書の損益計算書の中で、どんな経費が移動できるのでしょうか?
販売費及び一般管理費から特別損失へ移動できるのは、臨時的な支出で金額が大きいものです。
なぜなら、販売費及び一般管理費は、商品の販売などのために使った経費や事務所維持管理などのの経費を記載する場所だからです。
販売費及び一般管理に記載する具体的な経費は、次の経費などです。
- 交際費
- 広告宣伝費
- 通信費
- 地代家賃
これらの経費は、販売費及び一般管理費に記載していきます。
では、販売費及び一般管理費の中から移動できる具体的なものは、次の経費などです。
- 役員退職金
- 従業員退職金
- 特別償却
- 災害で被害を受けた場合の修繕費
なぜ、この経費は、販売費及び一般管理費に記載してあっても、移動できるのでしょうか?
なぜなら、役員退職金・従業員退職金・特別償却・災害で被害を受けた場合の修繕費は、臨時的だからです。
以下、役員退職金・従業員退職金・特別償却・災害で被害を受けた場合の修繕費について説明します。
役員退職金
私が顧問をする会社では、役員の方は社長か社長の親族が多いです。
役員が親族が多いので、あまり役員を辞めるということがありません。
創業者などは、会社を大きくした功績もありますので、役員退職金の金額も大きくなります。
なかなか辞めないのと金額的にも大きいという理由で、特別損失へ持っていっても良いと思っています。
従業員退職金
従業員退職金も特別損失で良いと思っています。
私が関与するる中小企業では、就職してもすぐに退職してしまって、長く続かないことが多いです。
それに、長く勤めていても退職金を出さない会社もあります。
そう考えると、退職金が出る従業員がいるのも正直珍しいので、販売費及び一般管理費から特別損失へ移動しても良いと思っています。
会計ソフトなどで入力すると、退職金は販売費及び一般管理費に出てきます。
退職金を販売費及び一般管理費にしたくなりますが、特別損失への記載を考えるべきです。
特別償却
特別償却とは、通常の減価償却に加えて、特別に追加で減価償却をすることです。
特別な償却なので、他の通常の減価償却は販売費及び一般管理費に記載しますが、通常の減価償却と区別して、特別損失に記載をすべきです。
ちなみに、青色申告をしている会社や個人事業主が対象となります。
青色申告については、下記の記事もどうぞ。
災害などで被害を受けた場合の修繕費
災害で被害を受けること自体が臨時的です。
金額の大きさにもよりますが、金額が多くなれば販売費及び一般管理費から特別損失への記載を考えるべきです。
数万円の場合は、あまり意味がないように思えます。
決算書の損益計算書の見方、費用の中から特別損失を探しだせ!のまとめ
最後にもう一度確認しましょう。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
55日記
朝起きて娘を抱っこしようとしたら、「やや」と嫌がられました。
朝から悲しい気持ちです。